子音骨格と母音骨格

越えなくてはならない壁?!
繊細な音を聞きとるためには、もっと大胆に!

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英語は子音を中心に音声を認識する“子音骨格”の言語では、
日本語は母音を中心に音声を認識する“母音骨格”の言語です。

簡単に行ってしまえば、
英語の音は子音が大事!日本語の音は母音が大事!

子音が聞き取れなくても、日本語は母音が分かれば何を言ったか判断できます。
でも英語はそういきません。
英語は子音を頼りに聞いているからです。
母音が間違っても構わないわけではないですが、日本語とは比較にならないくらい子音が重要であることは確かです。

母音を中心に発音し、母音を中心に聞き取る日本人にとって、子音骨格の英語を聞き取り、通じるように発音するには訓練が必要です。

まずは、わたしたち日本人の傾向を知っておきましょう。

  • 英語でもつい母音を聞き取ろうとしてしまう
  • その母音を日本語の母音に当てはめようとしてしまう
  • 子音はノイズとして除外してしまう

どれも身に覚えがあるのでは?

“英語脳”をつくるといっても、すべて英語で思考するなんて高度なことを言っているのでありません。

まずは徹底して子音に注目する!

今までずっと黒を見ていたのなら、これからは白に注目してみる。

2つのものを同時に認識することはできないことを受け入れて、一旦片方を捨ててみましょう。

どちらを優先するかは無意識にしていることなので、スイッチングは意識的にしないとだめですよ。脳に抵抗してくださいね (^_-)

英語の箱と日本語の箱を用意して
それぞれの箱にそれぞれの音を入れておくイメージをしてください。

英語ボックスには26個のアルファベットを入れましょう。
その箱には、今後新たに獲得した英語の音だけを加えていくようにします。
アルファベットにないその他の子音や母音は、アルファベットの音に慣れてから追加すれば十分です。

全部の母音や子音を一つず覚えようとするのは大変 (;´∀`)
でも26個のアルファベットなら、1日1個ずつでも1ヵ月くらい。
何とかなります!

別にネイティブと同じにならなくていいのです。

大事なのは日本語を代用しないこと。
英語独自の音を理解すること。

英語の音素だけで、英語を聞き、英語を発音しましょう。

無声音と有声音

声帯の振動がない音を無声音、振動がある音を有声音といいます。
母音は有声音ということです。

子音には無声と有声があります。

アルファベット中の無声音は

  • C (※発音上は“S”か“T”か“K”)
  • F face/office
  • H hair/heaven
  • K kind/ask
  • P post/import
  • Q (※発音上は“K”)
  • S space/second
  • T team/stay
  • X (※発音上は“K”)

子音単体では息の音のみで声帯振動はありません。
同じく有声音のアルファベットは

  • B bone/Beautiful
  • D dynamite/study
  • G good/gentleman
  • J juice/joke
  • L lemon/little
  • M mother/smoke
  • N next/nature
  • R rocket/control
  • V vision/invisible
  • W world/sweet
  • Y yesterday (※発音上は“j”に近い)
  • Z Zero/magazine

母音のようにはっきりとしませんが、こちらは声帯振動があります。

どうしても“振動”=“母音”にしたくなるので、最初は振動のない無声音系の子音から練習しましょう。
こちらは息だけなので母音を意識せずに鳴らすことが可能です。
子音骨格に近づくためには、子音単体の音を認識できなくてはなりませんので、唾をガンガン飛ばしながら「これがこの子音の音だ」と自分に覚えさせてください。

たとえば、
「can」は「キャン」ではなく「k-an」です。

 ※“-”は切るという意味ではなく、子音単体を意識することを示しています。
  “ka”ではなく“k”単体の無声音という意味です。

すぐ後ろに母音があったとしても、
英語の音の最小単位は各音素であり、「子音+母音」ではありません

そのように聞こえているうちは、ガッツリ“日本語脳”です。

聞こえない音があってもいいので、せめて聞こえる音は英語で!
聞こえた端から日本語に変換してはいけません。
最初はかなり意識的に、そして徐々に無意識に、子音中心の聞き取りと発音になるようにする。
これが英語脳にする第一歩です。

なにはともあれ、やはりアルファベットの発音を強化しなくては!
アルファベットの練習がまだの人は〈洋楽を歌う前の準備〉に戻ってください。


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有声子音の練習法

最初は無声子音から、次に有声子音と進めてください。

子音単体の音に慣れれば、有声子音の特徴もつかみ取りやすくなるでしょう。
ことばではなく、“音”として捉えるのがポイントです。

振動がある音でも子音は子音!阻害した音そのもののです。
はっきりとした母音がつくのではありません。

どうしても母音をつけた“かな”のような音になってしまう人は、次のような練習をしてみると良いでしょう。

閉鎖音を加えて発音する

たとえば、“D”のついた単語を発音するとき、「だ」や「ど」のように言ってしまうなら、“D単体の音素”が鳴らせないということです。

一度子音を鳴らした直後に“n”で阻害してください。
日本語の「ん」ではなく、舌を上の歯茎につけて阻害する「n」です。
息を止めずに、「Dn~Dn~Dn~Dn~Dn」と一息で繰り返す。
それが“B”なら「Bm~Bm~Bm~Bm~Bm」と唇を閉鎖する「m」で。

母音が何かを決めないと息も出せない人がいると思います。
母音を言わないようにすると振動が起こせない人もいるでしょう。
そのための一時的な練習法です。

~効果と利点~
何かの母音が鳴る前に閉鎖させているので「あいうえお」の印象は薄れます。
“n”も“m”も有声音ですから振動が持続されており、息も止めずに済みます。
有声音の特徴がつかめたら、最後に閉鎖をやめると、最初の有声音だけが強く鳴り、その後は自然に息が減衰します。

一度無声音で鳴らしてから有声音に切り替える

無声子音は任せろ!という人は、声帯振動を起こさなければ子音単体を捉えることはできているということです。
ならば、苦手な有声子音を一旦無声音にして、変な母音を入れないように練習してみましょう。

たとえば、
“because”を「ビコーズ」とはっきり「び」と言ってしまう。
“dream”を「ドリーム」とはっきり「ど」と言ってしまう。
これを「P-cause」や「T-ream」と発音してみます。
「ぴ」や「と」ではないですからね。無声子音ですよ!

但し、この練習は有声と無声のペアがある音に限ります。
「B」と「P」
「D」と「T」
「S」と「Z」
「V」と「F」
※ペアではありませんが、一部「G」を「K」にすることで一時的に有声音を無声音として発音することができるものもあります。

どちらの練習も日本語を回避するために行う一時的な練習法です。
“ヒント”にするつもりで練習し、最終的には正しい音素を獲得しましょう。

母音を捨てる

アルファベット以外は後回し

少し英語が聞き取れてくると、つい調子に乗って“英語風(英語調)”の音を発音してしまいます。

  • 不自然に子音を強く鳴らす
  • “R音”のような奥まった音が全体的に入る
  • 唇を突き出して歌う
  • 極端な強弱がつく

このようなことは起こっていませんか?

何十年も海外暮らしをしていても発音だけは良くならない人がたくさんいます。塾で英語を教えているのに外国人との会話は片言、なんてという人もいます。
いくら英語が得意でも“発音”は別です。

英語学習がここでの目的ではありません。
英語がペラペラになることでもありません。
あくまでも「英語を使って歌が上手くなること」です。

英語を使って、歌に必要な筋肉や呼吸を習得する!
英語をデッサンすること、またデザインすることが、音そのもののデッサン力やデザイン力の向上につながる!

よもや歌うことを優先して、適当な英語に逃げてしまっては元も子もありませんからね。歌が上手くなるためのトレーニングを英語でしていることをお忘れなく。

しばらくは“おかしな音”や“苦手な音”があることは自覚しつつ、アルファベット26音をしっかり練習していきましょう。
アルファベットの音がそのまま使えるにもかかわらず、崩した日本語の音を使っていたりしたらすぐに気付けるようにしましょう。

長母音以外の母音は捨てる

アルファベットの中にある母音は
「A/E/I/O/U」の長母音5つです。

これ以外の母音が短母音や二重母音などになるわけですが、今は後回しにします。何度でも言いますが、何はともあれ今はアルファベットです!

まだ英語脳にはなっていませんので、母音を気にしてしまえばすぐにでも日本語脳に逆戻りです。いつだって母音を言いたくてウズウズしていますから。

英語では“子音から子音までのつながり”を意識する

その間の母音が何なのかはこの際忘れて!
母音に注目してしまうと、前の子音も発音できず、さらに母音で一度音を止めてしまいたくなります。

以下のように、母音を一度伏せて子音のみを発音してください。

この時点ではアクセントが上手くつけられないので、正しい発音にはなっていません。ですが、かな読みした場合と比較すればかなり英語の発音に近い!と思いませんか?

“just”も「ジャスト」だと思っていれば、口は「あ」と開けたくなります。でも「j●st」と発音すれば、“j”から“s”に行くまでに口を開ける感覚はありません。母音での不必要な音や動作がなくなるだけで、呼吸のつながりもスムーズです。

母音が分からないなら子音に注目するしかありません。
強制的に英語脳にスイッチさせることができます。

|まとめ 動画付き

英語脳をつくるとは、音声の聞き取りも発音も子音中心にするということ。

今自分が獲得している英語の音素がどれくらいあるか。
聞き取れる音や発音できる音を少しずつ増やしていきましょう。

「この音はだいぶ英語らしい音になってきたぞ」
「この音はまだ日本語の音になってるなぁ」
そんなふうに自分の発音をチェックするようにしましょう。

今はまだ英語の中に日本語の音がたくさん混じってしまうのは仕方のないことです。どんなに流暢になったとしても、ネイティヴになれるわけではありません。
でも大切なのは、あるがままの“音を聞き取る力”と自分の望むように“音を生み出す力”です。

これが音楽を楽しむ才能、歌うために必要な能力でもあります。

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