~目次~
呼吸の変化をデッサンする
英語には日本語にはないリズムがある!
そのリズムを生み出している呼吸の変化を感じ取ろう。
呼吸が変われば、英語の発音も、声の響きも劇的に変わります!
でもすぐに腹式呼吸をマスターできるわけがありません。
現時点では、息の吸い方や流し方を気にするようにしてください。
<英語の発音は腹式呼吸> でお話ししたように、英語を上手く発音するためには腹式呼吸が不可欠です。
それは歌も同じです。
英語で歌を練習することはまさに腹式呼吸の練習です。
英語⇒歌、歌⇒英語の相乗効果を期待しましょう。
さて今回は、呼吸の変化に注目してデッサンしていきましょう。
呼吸には多い少ないだけでなく、強い弱い、速い遅いがあります。
規則性の代表格である“リズム”にも、呼吸が変化が伴います。
そんなリズムと呼吸の関係性を捉えるのが今回の課題です。
英語と日本語では音節が違う
英語の文章なら読み書きできるのに、リスニングや発音は苦手…という日本人が多くいます。
「もっとゆっくり発音してくれれば聞き取れるのに」
そう思っている人もいるでしょうが、きっとあなたが望むようには発音してはくれません。
わたしたちがゆっくり発音する場合
もし“クリスマス”だったら「く・り・す・ま・す」といいますよね。
でも、これを期待したらだめですよ。
英語話者から返ってくるのは「 Christ・mas 」です。
おいおい、それじゃ聞きたいところがきこえないじゃないか~!
と言いたくなります。でも仕方ないんです。
日本語では5音節の“クリスマス”も英語では2音節なのですから。
音節の違いもさることながら、英語はアクセントもありますからね。
英語特有のリズムに慣れない限り、1音節も再現できません。
まだ聞き覚えのある単語なら辛うじて何を言っているかを判断できるでしょうが、全く知らない単語を言われたり長い文章を言われたら…もうポカンとするしかありません。
日本語のリズムで英語は発音できない
日本語の音節は同じ長さで等間隔に発音されます。
3音節ならタタタ、5音節ならタタタタタといった感じです。
でも英語の音節は均一ではなく、一つの単語、一つの文章のなかにリズムがあります。基礎知識編でやりましたね。
たとえば、「バナナ」と発音してみてください。
日本語なら“タタタ”ですよね。
でも英語で発音するとどうなりますか?
音節は、“ ba・nan・a ”で日本語と同じ3音節です。
でも、2音節目の“a”にアクセントが付いて、
リズムとしては“タ タン タ”のようになります。
2音節目をやや長く感じますが、伸ばしているわけではありません。
×「バナ~ナ」
短母音はアクセントがつくことでやや長く感じられますが、母音を伸ばしたのではありません。
「Stop」を発音するときも、
日本語では「ストップ」促音含む4音節ですが、英語では1音節。
“o”の短母音にアクセントがつき、「スタ~プ」に近く聞こえます。
ちなみに末尾の“P”は閉鎖するだけの音ですから“ぷ”とはっきりは聞こえません。
英語には存在しない音
日本語の長音と英語の長母音はまったく別物です。
日本語の長音とは、発音において母音を引き伸ばす音です。
- おかーさん/おかあさん/お母さん
- おーきー/おおきい/大きい
- ふーせん/ふうせん/風船
- とーきょー/とうきょう/東京 など
英語の長母音は、アルファベットの音
「A/E/I/O/U」です。
英語に“母音を伸ばす音”がないように、
“1音節分無音状態になる音”もありません。
日本語の「促音」は表記上は“っ”で表します。
- おっと/夫
- がっこう/学校
- たっきゅう/卓球
- てっぽう/鉄砲 など
詳しくは~デザインする~の中でまた説明したいと思います。
要するに、英語の音を日本語で代用しようすると、本来のリズムからも遠ざかってしまうということです。
一つの単語にもリズムがあるのですから、これが長い文章になればもっと複雑なリズムが現れます。
“複雑”=“難しい”ではありません。
“複雑”=“個性的・特徴的”です。
むしろ分かりやすいと言っても過言ではありません。
歌はとても複雑です。
音程も音の長さも変化し、歌詞までついています。
もし音程の変化のみ、音符の変化のみ、詞のみを暗記しろと言われたらどうですか?相当な暗記力が求められますよね。
複雑だから、個性的で覚えられるのです。
いくら変化しているとはいえ、無作為に取り留めなく変化しているわけではないからです。
そこには秩序があり規則性がある!
だから、わたしたちは歌を聞き分けることができ、覚えることもできるのです。
英語のリズムにもパターンがあります。
それらを読み解いてください。
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息の流れの中で変化する
リズムの基本は、長短や強弱の組み合わせです。
ですが、一つひとつバラバラに発音したらまとまりがなくなりますから、途切れることなく変化させることが肝心です。
あくまでも呼吸の連続性は保たれていなくてはならないということです。
子音が上手くならないのも、アクセントがつかないのも呼吸の流れが保たれていないせい!
1音節ごとに口が動く日本語に対し、英語は1音節中にも調音が変化します。
先ほどの“バナナ/banana”でも
第2音節は、日本語なら「な」と一度口を開けたらおしまいですが、英語は「nan」ですから1音節の中でも動作し続けます。
流れている息をどこかで阻害することによって子音の音は生成されます。
また、阻害(子音)が開放されることにより、阻害のない母音が生成されます。
子音は阻害そのものの音
母音は阻害がない音
阻害すると息が止まってしまうようでは子音は鳴りません。
阻害を上手く作れないと直後の母音にアクセントは付きません。
どちらにせよ、日本語の音節、日本語の調音、普段日本語を発音している時の呼吸では、いつまで経っても英語の音にはならないということ。
困りましたね。。
でも、焦りは禁物です (-ω-)/
闇雲に腹式呼吸の練習をするより、英語の発音を練習するほうが具体的で分かりやすいではありませんか!
正しい英語の発音を練習することで、腹式呼吸に近づき、ことば(声)にリズムが生まれ、英語と歌の両方が一度に上達するのですから、頑張り甲斐があるってものです。
リズムと呼吸の関係性
日本語の長音(伸ばす音)や促音(つまる音)は、他の音と同じくかな一文字の長さに相当するので、無音部分があってもやはり「タタ(タ)タ」と等間隔になります。
音節数が同じでも違うリズムになるのですから、音節数を間違ったらさらにおかしなリズムになるのは当然のことです。
呼吸が変化しているのに変化させない。
呼吸は途切れてはいないのに止めてしまう(無音をつくる)。
そのようなことがないように注意しましょう。
リズムには、ただの長短や強弱だけでなく、そこに呼吸の変化が伴っています。
“長い—短い-長い”のリズムに、“遅い-速い-遅い”という呼吸が、
“子音-母音-子音-子音”の連なりに、“速い-やや遅い-やや速い-遅い”などの変化はないでしょうか?
少なくても、ただ母音を「あ~」と一定に伸ばしているような呼吸とは違うと感じたと思います。
無声子音(阻害あり/振動なし)、有声子音(阻害あり/振動あり)、母音(阻害なし/アクセントあり)、あいまい母音(阻害なし、アクセントなし)などの異なる音素が組み合わされているのですから、呼吸が変化するのは当然です。
事細かに感じられなくても、
「この音は前の音より速くなったかも」
「前の単語より次の単語の方が少しゆったり聞こえる」
というような気付きを大事にしてください。
まとめ 動画付き
英語は、日本語を発音するときの呼吸では上手く発音できません。
それは英語の音節はも均一ではなく(音素数が異なる)、それぞれの音素も、長い音・短い音、強い音・弱い音、はっきりした音・あいまいな音などがあるためです。
ありもしない母音を1つ入れてしまうだけで、1つの音節、1つの音符が存在することになってしまい、まったく違うリズムが現れてしまいます。
- 子音と母音をかな一文字にまとめていないか
- 不必要な母音を加え、音節数を変えていないか
- 日本語の長音や促音を入れていないか
- 間違った動作をしていないか (口のかたちや舌の動きなど)
これらを確認しながら、本来のリズムがどのようなもので、そこにはどんな呼吸の変化があるのかをつかみ取りましょう。
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