生徒執筆記事

みなさんは、<YEBBA(イエバ)>という歌手を知っていますか?

私は、エド・シーラン(Ed Sheeran)のアルバム「No.6 Collaborations Project(2019.7.12リリース)」で出逢うことができました。

5曲目の「Best Part of Me」という曲でフューチャリングしていたのですが、まずエドが、今までにないような優しく控えめな声で語りかけ、更にそれを上回る優しい声で応えていたのが、このイエバという歌手でした。

日本では、まだメジャーではありませんが、有名アーティストからのオファーが絶えない、イエバとはどんな人なのか、プロフィールやYouTubeで観られる動画をまとめました。

YEBBA(イエバ)とはどんな人?

YEBBAのプロフィール

  • 名前:YEBBA(イエバ)、Yebba Smith、Abbey Smith
  • 本名:Abigail Elizabeth Smith
  • 出身:アメリカ合衆国アーカンソー州ウェストメンフィス
  • 職業:シンガーソングライター、バッキングボーカリスト
  • ジャンル:ゴスペル、ネオ・ジャズ
  • 楽器:ボーカル、アコースティックギター、ピアノ
  • 公式サイト:www.yebbasmith.com

ステージネーム「イエバ」の由来

「アビー・スミス(Abbey Smith)」という名でも活動していますが、最近は「イエバ」をステージネームとしているようです。

「イエバ」とは、母親から呼ばれていたあだ名で、今は亡き母親への敬意が込められています。

また、“Yebba”という、英語で見ない綴りは、おそらくハウサ語(西アフリカ地方/アフロ・アジア語族)で、“実際に”という意味があります。母親にとって、イエバは夢のような存在で、実在することをいつもそう呼んで確かめていたのかもしれない…そんな風に想像すると、勝手に微笑ましい気持ちになってしまいます。

イエバのキャリアについて

本格的な音楽活動は、2015年からスタートしており、2016年チャンス・ザ・ラッパー(Chance The Rapper)の「Same Drugs」のバッキングボーカルを務め、2017年デビューシングル「Evergreen」をリリースしたことで注目を浴びています。

その他、サム・スミス(Sam Smith)、ルディメンタル(Rudimental)、マーク・ロンソン(Mark Ronson)、ジェス・グリン(Jess Glynne)、マムフォード&サンズ(Mumford&Sons)など、数々の有名アーティストとコラボレーションしており、2019年第61回グラミー賞では、PJモートン(Morton) ft.イエバ「How Deep Is Your Love」で最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス賞を受賞しています。

「How Deep Is Your Love」by PJ Morton ft. YEBBA(2018/02/16公開)

眼鏡を掛けたオーバーオールの女性が、イエバです。

ステージで派手なショーをするタイプとは真逆の、シンプルなたたずまい。ですが、圧倒的な存在感。

PJモートンが自由に歌えるように、しっかりサポートしています。これが、バッキングボーカルという役目なんですね。

イエバの音楽のルーツ

その1:キリスト教

イエバの父親は教会のオルガニストで、「父の教会で、オルガンのすぐ後ろで過ごしました」と語っています。赤ちゃんの頃から、教会の讃美歌やゴスペルを常に聴いて育ったそうです。

その2:クラーク・シスターズ

イエバが最も影響を受けたアーティストに、クラーク・シスターズ(The Clark Sisters)を挙げています。

彼女たちの歌からイエス・キリストを知り、彼女たちの歌を真似ることから歌を学んだそうです。特に、「Nothing to Lose」「Jesus Lifted Me」「You Brought the Sunshine」「The Darkest Hour is Just Before the Day」「Jesus is a Love Song」はイエバのお気に入りです。

「Jesus Is A Love Song」by The Clark Sisters(2012/04/16公開)

クラーク・シスターズとは、ゴスペル界のレジェンドと呼ばれ、その歌唱スタイルは、ビヨンセ(Beyonce)、マライア・キャリー(Mariah Carey)、フェイス・エヴァンス(Faith Evans)など多くの女性歌手に影響を与えています。

ちなみに、現在クラーク・シスターズの伝記ドラマ『The Clark Sisters: The First Ladies of Gospel』を制作中だそうで、2020年にアメリカで放送予定となっています。(観たい!)

イエバのジャンル:ネオ・ジャズとは?

ネオ・ジャズ(neo jazz)の“neo”とは、ギリシア語で“新しい”という意味で、英語で使うときは接頭語となり“新~/復活~/近代の~/改変(改良・改造した)~”という意味があります。

ジャズの要素と、ファンク、ヒップホップ、ポストロック、エレクトロニカ、フリー・インプロヴィゼーションなど、他の音楽スタイルがブレンドされた音楽のことを表すために、1990年代後半に造られた用語で、日本では、ネオ・ジャズ、ニュー・ジャズ(nu jazz, nu-jazz, NuJazz)とも呼ばれています。

ネオ・ジャズを表すデビューシングル「Evergreen」(2017.10.27リリース)

イエバの囁くような透き通った声から始まり、コーラスの重厚感を経て、徐々に地声が混ざっていき、意思のある導きで、いつの間にか歌の世界の到達点へと連れていかれます。

ミドルテンポのゆったりとした8ビートがスウィングし、拍子は2/4、3/4、4/4を組み合わせた変拍子。

リードギター、リズムギター、ベース、ドラム、オルガンの基本的な楽器編成で、3声のコーラスはゴスペルのような存在感があり、これぞ“ネオ・ジャズ”と言っても良いでしょう。

2018年3月30日には、Apple Musicのサポートを受け、デビューミュージックビデオをリリースしました。

YEBBA: Evergreen [Official Video] | Beats 1 | Apple Music

ニューヨークの聖母教会で、演奏、撮影されています。

ステンドグラスから差し込む光と聖歌隊の声が溶け込む様は幻想的で、バック・コーラスとのコール&レスポンスから徐々にホット・イントネーション(ゴスペルの唱法)となり、相反するものを一つに繋ぐように、イエバが歌の中を縦横無尽に飛び回ります。この達観したイエバの歌は、まるで神々の声を伝令する天使のように思えてくるのです。

YouTubeでみるイエバの名曲の数々

「Smoke」by Luke Levenson ft. YEBBA(2015/05/22公開)

「My Mind」(2016/12/25公開)

エド・シーランも涙した、Sofar NYCでのライブ映像。
この曲を発表した約一週間後、母親を自殺で亡くしています。

「Same Drugs[Official Video]」by Chance The Rapper, Eryn Allen Kane, Yebba, John Legend, Francis Starlite and Macie Stewart(2017/02/07公開)

3:22 “when did you start to forget”字ハモから“ how to fly?”の伸びやかな声

「No Peace」by Sam Smith ft. YEBBA(2018/06/11公開)「No Peace」by Sam Smith ft. YEBBA(2018/06/11公開)

2:09までの生ライブの映像

「My Day Will Come」by James Francies  ft. YEBBA(2018/10/18公開)

「They Don’t Care About Us[Official Audio]」by Rudimental ft. Maverick Sabre & YEBBA(2018/12/19公開)

「Don’t Leave Me Lonely」by Mark Ronson ft. YEBBA(2019/06/30公開)

「Best Part Of Me」by Ed Sheeran ft. YEBBA(Live At Abbey Road)(2019/07/10公開)

この曲のインタビューで、「最初、エフェクトでも掛けているのかと思った」と言われる程、エド・シーランの声にピッタリと寄り添っています。

「Where Do You Go」(2019/08/09公開)

母親を亡くした直後に書かれた、穏やかな祈りのような曲。


U-NEXT

まとめ

  • イエバは、アメリカ出身のシンガーソングライター&バッキングボーカリスト
  • 2019年第61回グラミー賞で、PJモートン ft.イエバ「How Deep Is Your Love」で最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンス賞を受賞
  • 数々の有名アーティストとコラボし、美しき名曲を世に送り出している

2017年、初のオリジナル曲「My Mind」を歌った約一週間後、母を自殺で亡くしました。この曲を通して、精神疾患を持つ人々を支援する組織、<Bring Change to Mind>に寄付することができます。ぜひウェブサイトにお立ち寄りください。

YEBBA公式サイト: https://www.yebbasmith.com/

執筆日:2019年9月2日 
ライター:ネットラジオVOXROOM・DJまそすー

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