洋楽のススメ2

ポピュラーミュージックの発展はアメリカ音楽にあり!

どんな分野を学ぶときでも、そのルーツを辿り、どこで誰が何をしたのか、どんな影響を受けてどのように発展したのかなどの歴史を知ることが大切です。

ポピュラー音楽のルーツは欧米の大衆音楽、とくにアメリカで誕生した音楽の影響を強く受けて発展したものです。

いくらJ-popという日本独自のジャンルが確立していたとしても、その根底には欧米の音楽、アーティストたちの影響があったことは無視できません。

音楽という枠組みの中であっても、各ジャンル毎に異なるルーツがあります。
歌に関しても、シャンソンならフランス、カンツォーネならイタリア、日本の歌としては民謡や小唄、詩吟なんかもそうでしょうかね。
それぞれ発祥地の言語で歌われ継承されてきました。

シャンソンを日本語で歌ってはいけない、なんていうことはありません。日本の民謡を外国語に訳して海外の人が歌っても構いません。

それでも、もしちゃんとシャンソンを学びたい、日本の民謡のことをもっと知りたい、そう思ったのなら、やはりそれぞれの言語で歌い、併せてその背景や歴史を多少くらいは学んだほうがいいとは思いませんか?

現在私たちが聞いたり歌ったりしているのは、主に広義のポピュラーミュージックと呼ばれる音楽です。

ロック、ジャズ、ブルース、R&B、ゴスペル、ソウル、カントリー、ディスコ、ヒップホップ……細かく挙げたらきりがありません。ただ現在のポピュラー音楽は、はっきりとジャンル分けされているとは言えず、いろんなジャンルの要素が一つの音楽に集約されているものが多いと思います。

すべてのルーツを辿る必要はありませんが、英語で歌われ発展した音楽を英語で歌うこと、、そして、いろんなジャンルのいろんなアーティストの影響を受けた欧米アーティストの歌を歌うことくらいはしてみてもいいのでは?

洋楽を知らずして、歌わずして、ポピュラー音楽(ボーカル)を学ぶことは困難です。一つの楽曲や一人のアーティストをきっかけに「ポピュラー音楽のルーツや歴史」に興味をもってみると良いと思います。

音楽ジャンルのルーツ

ポピュラー音楽史を一から学ぶのは大変ですので、ここでは、少しですが各ジャンルのルーツだけお話ししたいと思います。
より詳しく知りたい人は、サイトや関連良書などを参考にしてください。

黒人奴隷と音楽

黒人バンド

もともと文字のなかったアフリカでは、「グリオ」という世襲制の語り部がいました。グリオはその時々の出来事などを歌にして村人に伝え、宗教儀式や冠婚葬祭などの重要な儀式もすべて歌で仕切っていました。

こうして引き継がれたメロディーやリズムが黒人奴隷のなかに受け継がれ、「フィールド・ハラ―(労働歌)」や「ブルース」のルーツになったと考えられています。

フィールド・ハラ―は直訳すると“野の叫び”であり、過酷な農場での労働の際にあげる黒人奴隷たちの叫び声でした。奴隷と言う精神的苦痛を和らげるために彼らはみんなで声を出し歌ったのです。

ブルースは、訴えかけるような、ゆったりとした節回しで、メリスマなど多くの装飾音をともない、自由なテンポや曲想で歌われました。
これに対し、フィールド・ハラ― は集団で歌う労働歌であり、リーダーが歌の一節で仲間をリードし、仲間はそれに応える形で歌う「コール&レスポンス」というスタイルが一般的です。このスタイルは、その後黒人教会で生まれるゴスペルにも受け継がれていきます。

白人たちは奴隷制度を正当化するために宗教を利用しました。文字の読めない黒人たちは、牧師の説教を聞き、聖書の言葉(教え)を学び、その言葉をメロディーに乗せ、野外集会などで歌いました。それが黒人霊歌の始まりです。

1600年代初頭に、植民者が上陸し、アメリカ植民地時代が始まります。
この頃のアメリカのポピュラーソングは、開拓者たちの母国であるヨーロッパ各地の民謡や労働歌が原曲となった替え歌的なものが多く、アメリカ最古のポピュラーソングと言われる『♪Yankee Doodle(ヤンキー・ドゥードゥル)』の原曲は、イギリスの子守唄であるというのが定説です。
また『♪Amazing Grace(アメイジング・グレイス)』もこの頃に作られた宗教歌で、奴隷船の船長であったイギリス人牧師がつくった曲と言われています。

19世紀半ばになって、ようやくまとまった国家になりつつあったアメリカでは、産業革命によりニューヨークをはじめとする商業都市が発展していきました。
ヨーロッパからバレエ団やオーケストラもやってきて公演を行い、アメリカに多くの娯楽を提供しました。同時にアメリカ最初の大衆芸能「ミンストレル・ショウ」が誕生し、これがやがてミュージカル・コメディへと発展しました。


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ブルースのルーツ

線路と帽子

劣悪な生活環境のなかでも、黒人労働者たちには仕事と仲間がいるという安心感がありました。その結果、寂しい労働歌に代わり、感情を直接歌いあげる、表現力に富んだ歌が生まれていきました。これが初期のブルースです。

ブルースは主にスリーコード( Ⅰ、Ⅳ、Ⅴの3つのコード )で作られ、A-A’-Bという構成で4小節、計12小節が1コー ラスとなるのが基本形式となっています。

メロディーは各音階の第3音と第5音と第7音がフラットし、独特の哀愁感があります。このスケールを「ブルー・ノート・スケール」といいます。”ブルー”はブルースの語源でもある「憂鬱」を意味します。

往年のブルースマンとしては、ロバート・ジョンソンや サン・ハウス、チャーリー・パットンなどがいますが、 最近では2016年にデビューしたThe Marcus King Bandという20代のブルース・ロックバンドがおススメです。

とかく音楽ジャンルの区分にうるさい人たちがいますが(失礼;)、あまり細かいことは気にせず、”ブルースを感じる曲”を聞いてみてください。

ブルースシンガーが歌えばどんな曲もブルースになるし、ポップスと呼ばれる音楽の中にもブルースを感じさせる要素が含まれる曲もあります。
少しだけ、その音楽の背景(ルーツなどの知識)を知っていれば感じ取れるものが変わってきます。音楽の味わいが深まります。

B.B. Kingはアメリカの偉大なブルース・ギタリスト&シンガーソングライターで、1950年代から活躍し、2015年5月に89歳で亡くなっています。この曲はロイ・ホーキンスが1951年に発表した作品のカバーになります。 彼は、エリック・クラプトンやジョー・ペリー、スラッシュなど、後世のギタリストに多大な影響を与えました。

ジャズのルーツ

ジャズ

ジャズは、20世紀初頭にアメリカで誕生し、その後世界に広がり、今もなお世界のポピュラー音楽に多大な影響を与えています。

ジャズと言えば即興演奏が主流ですが、その指標としてコードネーム表記が一般化しました。この和声法の合理性はポピュラー音楽全般、とくに作編曲法に大きく貢献したと言えます。

アメリカ南部ミシシッピ川河口に位置するニューオーリンズ。
ここはラテン系の文化が入り混じった、大らかな気風に満ち溢れた街でした。この地にはフランス系やイタリア系と黒人との混血であるクレオールと呼ばれる人々が誕生しました。
クレオールは当時でも黒人とは区別され、奴隷制度のある中でもニューオーリンズでは白人並みの有産階級とされていました。

しかし、1863年に奴隷制度が廃止。クレオールたちはそれまでの優位な立場から一転、同じ“黒人”と見なされるようになり、その黒人コミュニティの中で音楽も新たな出会いと融合を遂げることになります。

譜面に忠実なヨーロッパの伝統音楽を基盤とするクレオールと、耳から聞いた音を即興的にパワフルに演奏するアフリカ系の黒人、その両者がともに演奏することで、ジャズとしての形態が形作られていきました。

ニューオーリンズの混血文化のなかで形成された初期のジャズを「ニューオーリンズ・ジャズ」または「ディキシーランド・ジャズ」と呼びます。

この続きはまた次回!
「リズム&ブルース」「カントリー」「ゴスペル」のルーツを辿ります。

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